「うちの家族は揉めないから、相続は心配していない」とよく耳にします。
「親がなくても子は育つ」、確かにその通り。
ところが、実務をしていて特に最近強く思うのが、「親がなくては子が揉める」ということです。
このことをあまり気にしている親御さんたちが少ないことに驚きます。
親の財産を子供たち相続人が均分に相続することが、本当に「公平」で「良いこと」 なのでしょうか。
遺言書がなければ、民法では親の財産を機械的に法定相続人に分配されてしまいますし、遺言書があったとしても、その遺言の全てを認めず遺留分という相続人に与えられた権利を保護します。
そのため、財産所有者である親の意思が生かされないまま相続を迎えてしまい、「親がなくては子が揉める」事態となるケースが多いように感じます。
私は、いつも相続人さんに、亡くなられた親御さんは、遺産争いをすることで兄弟が仲悪くなること、また、質素倹約して貯めた財産を、たとえ一円のお金でも家族に多く残したいと願って亡くなられていますよ、と伝えます。
また、一方、親御さんについても、「親がなくては子が揉める」ことを前提に、遺言書等はもちろんのこと、家族に対し生前に自身が亡くなった後のこと、例えば、お母さんの面倒を長男にお願いしたいなどの話をしておいて下さいと伝えています。
どんな新しい制度ができようと、やはり、根本は家族が揉めること「争族」とならないよう、一人一人が思いやりを持って譲歩する互譲の精神が「爽族」になるものと信じこれからも実務に取り組んでいきたいと考えています。
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