• 山﨑税理士事務所

安心してできる相続税対策についてまとめてみました

更新日:3月23日



相続税対策の無料相談会でよく思うのですが、案外と相談に来られるお客様はご自分の悩みを具体的に把握できていないものです。

それなのに、雑誌やテレビ等で不安を煽られ、気持ちだけ焦って空回りしている方をよく見かけます。 なぜそうなるかと言えば、相続税対策について部分的な理解しか出来ていないからではないでしょうか。 つまり、何をどこまですれば安心できるかを把握できていないのです。

そこで、本記事では一般的に安全だと言われる相続税対策について網羅的にご説明させていただきます。 ここでご説明させていただく相続税対策を行えば、とりあえずは基本的なものは終わりです。 ここに載っていない相続税対策は「不動産投資」のようにリスクを伴うものになりますので、基本を押さえた後に余裕があれば考える程度でよいでしょう。


目次

 

1. 生前贈与による相続税対策

 1-1 贈与税が課されない範囲で毎年110万円の贈与を行う

 1-2 相続税よりも低い贈与税率の範囲で贈与を行う

 1-3 相続時精算課税制度で収益物件を贈与

 1-4 教育資金贈与で1,500万円まで非課税を受ける

 1-5 夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除

2. 生命保険の非課税枠を利用した相続税対策

3. 相続税がかからない財産を購入する

4.まとめ




1. 生前贈与による相続税対策


生前贈与とは、相続発生前に自分の財産を他の人に分け与えることを言います。 相続の節税対策として、生前贈与は非常にお手軽で強力な手段ですので、多くの人が活用しています。


ただし、一口に生前贈与といっても様々な方法があり、中にはリスクを伴うものもあります。

例えば、「相続時精算課税」は一度でも利用すると、1-1でご説明させて頂く暦年贈与が利用できなくなってしまいます。


今回は、「安心」をテーマに相続税対策をまとめているので、「相続時精算課税」については載せないでおこうとも思ったのですが、いかんせん「相続時精算課税」をご自分でやってしまってから相談しにくる方が結構いらっしゃるので、警告の意味も含めてあえて載せています。


1-1 贈与税が課されない範囲で毎年110万円の贈与を行う


(1)対策方法:毎年一人110万円以内の範囲で生前贈与を行う

生前の贈与には、年間110万円以内であれば贈与税がかからない基礎控除の枠があります。

そして、子や孫に年間110万円以内の金額の生前贈与を実行することで、毎年贈与した分については相続税の課税対象外にすることができます。




ただし、この基礎控除は贈与を受ける子や孫といった単位で考えなくてはいけません。

たとえ自分が110万円の範囲内で贈与したとしても、その贈与を受ける子や孫が他の人からも贈与を受ける場合には贈与税が発生することになります。


生前贈与の方法は預金振込がお勧めです。 現金でも問題はないのですが、預金振込の方が証拠が残るため後で税務署から指摘されたときにも贈与の事実を証明しやすいです。


(2)効果・特徴:早くから実施するほど効果が大きくなる

この対策は早くから実施することで節税効果が高まり、目立ったリスクもありません。 「とりあえず・・・」と思い立ったら、すぐに実行しても良いでしょう。


例えば毎年110万円を子3人に実施した場合、1年間で330万円の資産を無税で移転でき、これを10年続ければ3,300万円、20年続ければ6,600万円となるので、早くやればやるほど相続税の対象となる財産を減らすことができます。


(3)注意点



・税務調査で「名義預金」と判定されないよう対策を打つ必要があります。


名義預金とは、その預金の名義人と実質的な支配・管理者が異なるものを言います。税務署から名義預金を指摘されると、その預金は相続財産に含まれ課税の対象になり、さらに追加で一定のペナルティを支払うことになります。具体的には、贈与をしたつもりで子供名義の口座にお金を振り込み、その子供名義の通帳を贈与者本人が管理している場合のその口座を、名義預金と言います。


民法上は、贈与は口約束でも成立しますので、特に親子間では贈与契約書を作成しないで贈与を行うケースがよくあります。しかし、相続税調査の時には贈与者である親はすでに他界している状態なので、本当に贈与をする意思があったかどうかを証明するのは困難になってしまいます。そうなると、第三者視点である税務署からすれば、その資金の移動は「贈与」ではなく「貸付金」だったのではないかという疑惑を否定することができません。


ですから贈与を行う場合には、客観的な証拠を残すために、親族間であるからこそ贈与契約書を作成しておくべきなのです。他にも客観的な証拠を残す手段として、あえて贈与税が少し発生する金額を贈与し、贈与税の申告をすることにより、税務署自身に贈与の事実を証明してもらう方法などもあります。


さらに、子や孫の名義である預金にお金を振り込んだ後、その通帳を親が管理していると、それも名義預金として指摘される恐れがあります。つまり、税務署からすれば、その預金はただ名義を変更しただけであり、その資金の実質的な所有者が変更していないのだから、贈与とは認められないというわけです。ですから、贈与した資金については、その贈与を受けた子や孫が自由に使用できる状態にしておく必要があります。

・相続開始前3年内の贈与は相続財産に含まれます


相続が発生する前3年内に相続人に行われた贈与については、相続財産に含まれるというルールがあります。

つまり、なくなる前に慌てて贈与を行っても節税対策としては効果がありません。 ですから、この節税策は「思い立ったらすぐ!」で行ってみても良いかもしれません



1-2 相続税率よりも低い贈与税率の範囲で贈与を行う


(1)対策方法: あえて贈与税を支払うことにより相続税を節税する

「損して得取れ」とは、この節税策のためにあるような言葉です。 あえて贈与税を支払うことで、結果的に節税をすることができるのです。

さらに、平成27年の相続税・贈与税に関する税制改正は、消費を喚起するため現役世代への資金移動を促す意図があり、以前より贈与に関する税負担が軽減されています。 そのため、この「損して得取れ」の相続税対策がよりいっそう輝きを増しています。

まずは、相続税率について確認してみましょう。 「法定相続分に応ずる取得金額」に対応する相続税率で、あなたの場合に適用されると想定されるものを覚えておいてください。



次に、先ほどの相続税率よりも低い贈与税率を下記の表から探してみてください。

その相対的に低い税率の範囲内で贈与を繰り返せば、相続税を支払うよりも結局はお得なことがわかると思います。



※特例贈与とは、父母や祖父母などの直系尊属が子や孫などの直系卑属へ対して行う贈与を言います。 ※上記表から計算した贈与税額から累進課税分の控除をすることができます。


(2)効果・特徴: ある程度まとまった金額を贈与することができます


どのくらい効果があるのかを具体例で見てみましょう。


相続財産が2億円で子供が二人のご家庭を想定します。 このままですと、30%の相続税率がそれぞれに課されることになるとします。

ここで、このご家庭で子供2人にそれぞれ500万円の贈与を行ったとすると、500万円から贈与税の基礎控除額である110万円を引いた390万円を基準として税率が決定されます。 2人とも特例税率が適用されるとすると、390万円のラインですので税率は15%となります。

ですから贈与税の金額は390万円×15%−10万円(控除額)=48万5,000円となります。 この贈与税を二人分なので、合計で48万5,000円×2=97万円を国に納めなくてはいけません。

97万円も贈与税を払うだなんて、損をしているのではないかと思われるかもしれません。 しかし、今回贈与した1,000万円に対してもし相続税が課せられていたとすると、1,000万円×30%で300万円もの税金を納めることになります。

結果として、今回の贈与で 300万円-97万円=203万円 も節税ができたことが分かると思います。


(3)注意点 この対策は、将来の相続税率が高くなると予想されるご家庭に適した節税策です。 しっかりとした事前のシミュレーションを行った上で贈与を行わなければ逆に損をしてしまう可能性もあります。対策を行う前には税理士に相談することをお勧めします。


1-3 相続時精算課税制度で収益物件を贈与


(1)対策方法 相続時精算課税制度を利用して収益物件を子や孫に贈与し、富の源泉を相続人に移転する

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子や孫に贈与をする場合には、2,500万円までは非課税になるという制度です。

この制度を利用し、毎年収益を生む不動産等を早めに子や孫に贈与することにより、相続財産の蓄積を防ぐことができます。


(2)注意点 相続時精算課税制度は2500万円までの贈与が非課税となるものですが、この制度により贈与した金額は相続が発生した際には相続財産として取り扱われることになります。


さらに、相続時精算課税を一度適用すると、その贈与者から贈与を受ける財産については年間110万円の贈与税の基礎控除を適用できなくなってしまいます。

以上のデメリットにより、相続時精算課税制度については節税策として有効な場面はあまりないと考えたほうがいいと思います。 実施する前には、必ず入念なシミュレーションを行ってください。



1-4 教育資金贈与で1,500万円のまで非課税を受ける


(1)対策方法:教育資金の一括贈与特例を利用し、子や孫に1500万円までの範囲内で教育費の一括贈与を行う。


(2)効果・特徴 贈与をする側からすると、贈与をした相手に対してその使途を教育に限定できるので、無駄遣いを防止させることができるというメリットがあります。


さらに、お孫様の人数×1,500万円の贈与が非課税となるので節税効果も大きく、受け取る側も教育資金を一括で受け取れるため、将来の計画が立てやすいというのも大きな利点です。


(3)注意点 そもそも、子や孫の教育費を必要な時にその都度贈与する場合は非課税です。 ですから、お孫様の成長に合わせてその都度贈与をするご予定であれば、特にこの制度を利用する必要はございません。


次に、教育に使途が限定されているのですが、塾などについては500万円までしか認めないなど細いかい規定があることに注意が必要です。たとえご自身で教育目的の支出だと判断していても、受贈者が満30歳に達した時点で税務署からその支出は教育目的ではないと判断されれば、その支出に対して贈与税が課せられる可能性がありあます。


さらに、一度この制度を利用すると、贈与された孫は30歳になるまで領収書を集めたり支払明細を作成したりという煩わしい手続きが必要になってしまいます。


ちなみに、平均寿命まで生きたとすると女性の場合は87歳ぐらいまで生きることになりますが、その時点で孫は大学を卒業している年齢に達するため、この制度を利用しなくてもその都度学費を非課税で贈与すればよいことになります。


1-5 夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除


(1)対策方法:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除の特例を利用して配偶者に自宅を贈与する方法


この特例では2,000万までの贈与が非課税となるので、基礎控除と合わせれば、合計で2,110万まで非課税で住宅の贈与をすることができます。


この特例を利用するための適用要件は主に次の3つです。


①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与であること ②居住用不動産を贈与、または購入するための金銭の贈与であること ③贈与を受けた翌年の3月15日までに実際にその贈与により取得した居住用不動産に住むこと



(2)効果・特徴 20年間以上の婚姻関係にある場合には非常に利用しやすい制度です。

節税効果も大きいため、相続財産が相当規模あるのであれば考慮してみてもいいかもしれません。


(3)注意点 この制度は居住用不動産またはその取得にかかる贈与にのみ適用されるので、単なる金銭の贈与は対象とならないことに注意してください。


また、不動産の取得にかかる費用が「相続」の場合と比べ「贈与」では高額になるというデメリットもあります。 不動産の名義変更にかかる費用は5倍近い金額になり、さらに不動産取得税も課されます。



2. 生命保険の非課税枠を利用した相続税対策


(1)対策方法 生命保険金の非課税枠(500万×法定相続人の数)を利用して節税する (2)効果・特徴 生命保険は「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠が設定されているため、お手軽で確実な節税対策として人気があります。

生命保険アレルギーのお客様を相続無料相談会でよく見かけますが、なぜ生命保険が相続対策として有効かをご説明させて頂くと案外とすぐ誤解がとけることがよくあります。

生命保険は相続税の節税対策として安全かつ強力なツールの一つなので、これを活用しない手はないです。

大切なのは「何となく」といったイメージで物事を判断しないことです。 あなた自身が制度の概要を把握し、その上で税理士や保険の営業の方とお付き合いするとよいでしょう。


それと、ご高齢の方は「さすがにもう加入できる生命保険はないんじゃないのか?」と考えているかもしれません。 ところが、実際には90歳ぐらいで加入できる生命保険もあったりします。 当事務所でも様々な生命保険をご紹介させて頂きますので、どうぞお気軽にご相談ください。


節税とは少し離れますが、生命保険を上手に設定すると、財産の送り手の気持ちを汲んだ財産の分配を行うことができます。 このあたりの生命保険の活用法についても後日あらためて記事を書こうと思っていますので、その際はよろしくお願いします。


(3)具体例  法定相続人が妻と子供2人のご家庭を想定します。 妻と子供2人なので法定相続人は3人になります。

ですから、生命保険金は500万×3=1,500万円まで相続税が非課税となります。

この生命保険金ですが、受取人が相続人の誰であろうと非課税の枠に変動はありません。 ですから、妻が一人で1,500万円受け取ってもいいし、子供2人がそれぞれ750万円ずつ受け取っても問題ありません。


(4)注意点 配偶者を生命保険金の受取金として設定されている方は多いと思います。 しかし、相続税の節税という観点からみると、保険金の受取金は子や孫にされた方がよいです。

というのも、配偶者は相続税の軽減措置があり、1億6,000万円までは無税になるので、相続税を負担するケースはあまりないのです。 生命保険の非課税枠は「誰が生命保険を受け取るのか」には関係なく利用できるので、それならば相続税が発生してしまう子や、二次相続にはならない孫に贈与される方がよいでしょう。


その他にも「保険金額をどのように設定するか?」「保険金の受け取りを誰に設定するか?」「相続対策に向く保険とはどのような保険か?」といった問題もあります。 これらの注意事項については、保険の営業の方だけでは対応が難しいと思います。 税理士を交えてご相談されることをお勧めします。



3. 相続税がかからない財産を購入する


(1)対策方法:墓地、墓石、仏壇や神具などを生前に購入し相続税を節税する


(2)効果・特徴 節税効果は小さいが確実に節税をすることができる お墓の平均価格は、関西で196万円だそうです。(ただし、お墓屋さんのWebサイトで確認したのでこの数字の客観性は保証しかねますが!)。 生前にお墓を購入することにより、この196万円を相続税の対象から外すことができます。


(3)注意点 ただし、過度に高価なもの、例えば純金のお墓などは税務署から非課税財産とは認めて貰えません。 なぜなら、相続後に遺族がその純金のお墓を転売することにより金銭を得る可能なので、そうすると脱税行為になってしまうからです。


4. まとめ


今回は安心してできる相続税の節税対策についてご説明させて頂きました。 イメージとしては、相続税対策はまず「110万円の暦年贈与」、次に「生命保険の非課税枠」を最大限に利用してから、その後に残る財産を吟味しながら他の対策を考えていけばよいのではないかと思います。


相続税の節税対策は早期に実行するほど効果が高いです。 本記事を参考に、まずは「110万円の暦年贈与」からはじめてみてはどうでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。 滋賀県内で相続税対策の無料相談会もほぼ毎週行っていますのでご利用下さい。


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